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Fumiko Saburi | CalligraTalk

 佐分利史子 カリグラトーク

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スクリプトリウムII レポート 其の一


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[J.S.バッハ―マタイ受難曲より、52.Arie.A (アルトのアリア “わが頬の涙” が題材)]


《霧とリボン》 のブログにスクリプトリウムII のレポートが綴られました。
ぜひご覧ください。
★音色に染まった菫色の写字室


作品説明というものは、しないのが理想だ、と常々思っています。 搬入が終わったらあとは作品の仕事だから、自由に受けとめてくださったらそれで良くて、会場に私が居るのも本当は蛇足だなあと。 自分が誰かの展覧会に伺った際には作家ご本人がいらして嬉しいことも確かにあるけれど、たとえば美術館でルノワールの作品を見ているときにご本人がいらして 「この作品はね」 と言い始めたら、いえいいです戻ってください(お墓に)!ってなると思うのです。

が、今回は、お話しないと何も伝わらない、よくわからないけど文字が書かれているっぽいで終わってしまうと思ったので、意識してお一人お一人に話しかけました。 放っておいてという感じだったらすぐに下がる準備は常にしつつでしたが、結果すべてのお客様が、こちらに向き直る感じで続きを聴こうとしてくださった印象でした。それなら一から話しちゃうぞ一通り行っちゃうぞと、楽しんでもらえると信じてお話ししたことを、上記のレポートで追っていただけると思います。


会場でのノールさんの言葉に、文字(を題材とした)芸術は、まだまだマイナーだからなかなか理解されにくいと思っている(思っていた)、というものがありました。

実は私は文字芸術という言葉にささやかな抵抗があります。「作品は “芸術か芸術でないか” しかない」「文字芸術という小ジャンルは存在しない」と思っているからです。私の作品は歴史的なカリグラフィ文字を手段として情景を描こうとしていて、カリグラフィ作品でもタイポグラフィ作品でもなく「絵」だと思っている。書いてある詩は(訳文を)読めば内容はそれ、であればいいので、読めるけど読まなくていいし、だから読めない話せない言語でも構わない。文字の形や線そのものが持つ緊張感や生命力のようなもの、整然と並んだときに出現する模様や細部のキレ、余白の静けさ、一枚の紙が放つ何か、が大事で。

でも実際のところ文字を題材とした作品群には説明が必要だったし、ノールさんの言葉にも反発を感じなかった。“絵”とのあいだには何らかの違いが・・・うーんやっぱりあるのかー。まあ私自身、肩書きをカリグラファ・作品をカリグラフィとしているのは、画家・絵画とするのは(まだ)無理があると思うからだし・・・。・・・文字には情報を伝達するという側面があるところが違うのでしょう多分。本来は文字のメイン役割だけど、文字を題材とした芸術を考える際には側面。時には邪魔だとすら思う。

そんなわけで、視覚以外の側面があるという点で 「絵」 とは何かが違う(のかもしれない)。私の作品はカリグラフィ作品でもタイポグラフィ作品でもない!Handwritten Typography ではない!ことは確信しているけれど、文字作品であることは否定できない(のかもしれない)。 一点一点の作品説明というより“何をやろうとしているのか”の説明が現状は必要だ。そしてそのためには文字芸術という言葉も(今は)必要(なのかもしれない)。 そんなことを考える在廊経験でもありました。
5/30追記: 文字は自然のものではなく人間が作ったもので、人類の知能で。違うにきまってるし、むしろ特別なものという見かたもある(かもしれない)・・・悩。

ただ、上に書いたように文字芸術という新?ジャンルをアピールしたり、それを定義付けしようという気はなく、「私達は文字が好きで、こういうところに惹かれていて、それを人に観てもらえる形にしようと大切に作ってきたのはこういうもの、そしてそれらを芸術と言えるくらいに必死で高めているつもりです」 ということを言い表すため、あくまで自分たちがやろうとしていることを伝えるために使う言葉でありたいです。



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[ end of the world (アネモネさんの同名の楽曲が題材)]


そんななか今回の企画は音楽を“記述する”試み、だったから、一人で自由に作るものよりは明確に“文字作品”だった気がしますが抵抗は感じなかった。 題材の楽曲を聴きながら仕上がった作品を目で追って心地良かったし、音楽と文字の橋渡しとしてネウマ譜(四角譜)にも挑戦できた。 上に長々と書いたことは私にとっては大事なことの一つだけど、本っ当ーのところはそんな理屈はどうでも、見て好きかどうかだけでいいやーと思っているので・・・文字が入っていない作品ができたことも嬉しかったです。

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[ AVE MARIA (ピアニスト久保田恵子さんの同名の楽曲が題材)]



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[ yume toh ya (アネモネさんの楽曲 “夢十夜” が題材、楽譜のみ)]



『本展示では、音楽をイメージして作品を制作するのではなく、音楽家が「詩と楽譜」に向き合うように、「詩と楽譜」そのものを作品化することに取り組みました。』 (――霧とリボン様ブログより)



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[Violet (ピアニスト久保田恵子さんの同名の楽曲が題材)]



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[J.S.バッハ―マタイ受難曲より、13.Arie.S (ソプラノのアリア “われは汝に心を捧げん” が題材)]



“スクリプトリウム”は中世ヨーロッパの修道院写字室のこと。
『私たちは現代の日本で写字室ごっこをしているんです(オリジナル・デジタル書体とカリグラフィで)♪』
(――ノール女史語録)




※今回制作した6作品は光栄なことに完売し、すべて個人蔵となりました。

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東京在住のカリグラファです
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